操体とは

操体法とは?

操体及び操体法は仙台の医師、橋本敬三が様々な民間療法に出会
う中で、高橋迪生氏の正體術(せいたいじゅつ)に大きなヒントを得て、
操体法の基礎を確立しました。

操体法の特徴

操体法は思想や人生観も含めた想念の部分を操体として説いており、
健康法や身体の使い方、パーソナルケアを操体法と分類しています。
操体法の特徴は以下の通りです。

  1. 『自力自療(じりきじりょう)』の考え方が土台にあり、あくまでも身体を整えるのはクライアント自身の治癒力であり、施術者中心ではない
    という考え方。

  2. 施術の中心はクライアントの『感覚』の捉え方であり、”快・不快”のききわけこそが施術の大きなポイントだということ。

  3. 施術の際に「外観をみる(視診)」「状況の確認(問診)」「触れてみる(触診)」以外に『動かしてみる(動診)』という”みたて”からそのまま施術へ移行するといった施術とみたてが同時的に発生するというところ。

『息・食・動・想・環』の考え方

『操体』の考え方で特徴的なものの一つがこの『息・食・動・想・環』
いう考え方です。
この考え方は私たちが日々の生活を営む上で、最低限、他人に代わって貰
うことの出来無い大切な事柄を説いた教えです。

この五つの要素どれ一つ欠けても健康生活を営むことは難しく、全ての要素
がお互いを補填しつつ影響し合ってバランスをとっているのです。

①『息(そく)』とは

私たちがこの世に生を受けて亡くなるまでの間、無意識に行うのが”呼吸”です。
とかく”腹式呼吸”が素晴らしい万能な呼吸であるかのように言われがちですが、腹式も胸式も共に大切であり、極端にどちらかを信奉するように行うのはバランスを崩すこととなります。

”自然呼吸”が呼吸の基本であり、その時の身体の状態によって心地よい呼吸を無意識に選択することが大切です。

そのためには普段から腹式も胸式もトレーニング的に身体に通すことが無意識下に呼吸を選択するために大切なことです。

共通しているのは『呼気』の重要性であり、呼気への意識付けが呼吸の快を得る大きなポイントなのです。

②『食(しょく)』とは

『食』の問題は非常に根が深く、伝統的日本食が戦後の急激な欧米型への転換により大きな変化をもたらされました。

命を戴くとされていた日本人の食の概念から、もっと美味しいものを求める『欲』の追求へと変わっていきました。

しかし、根本的な動物としての食性から『食』を捉えると、橋本敬三師がその著書からだの設計にミスはないの中で次のように説かれています。

人間の歯の総数は28本ですが、肉食用の歯犬歯糸切り歯計4本野菜用の前歯8本雑穀・堅果類用の臼歯16本です。

人間の身体は各部分が互いに連携、対応・作用をしていますので、身体にとって必要なものが摂れる様、歯の仕組みも出来ています。

歯の総数から考えると、野菜が2に対し、肉は僅か1雑穀類が4の割合になります。

食に関して言えば、我々は一度、数字合わせで食べる”栄養学”の呪縛を振りほどき、主食を中心とした「食の原点回帰」が望まれ、昨今叫ばれる”地産地消”システムこそ、食の健康の原点「身土不二」へ繋がっていくものと信じています。

③『動(どう)』とは

操体を初めて知った殆どの方は最初この『動』の部分に興味を持たれて捉える方が多いと言われています。

身体を使う上においてとても大切な事として、橋本敬三師般若身経ともじって『動』の教えの根幹として身体運動の法則を説きました。

この身体運動の法則操体法全ての根幹にあり、『自分のケア』は言うまでもなく『対人での施術』にも応用可能なメソッドとなっております。

④『想(そう)』とは

この『想』、想念に関しては現代人にとって大変根深い問題だと言えます。橋本敬三師が提唱した時代の想念とは比べものにならない位、ストレス状態が複雑化していると言えます。

終身雇用が事実上崩壊し、派遣社員や外国人労働者など雇用形態の変化や、テレワークなどの在宅勤務によって目まぐるしく社会環境が変化しています。
ここ数十年での時代背景の急激変化でストレスもより巧妙に、知らない内に心の内壁が病んで行くという人も少なくありません。

ストレスの厄介なのは痛みと密接な関係にあり、私が開業した数十年前とは違い、単純に重たいものを持ったから腰や肩が痛くなったなどと言った症状は殆ど無くなり、原因はよく分からないが腰や肩が痛いという、原因が曖昧なものから来る症状を訴える方が増えていることです。

いわゆるストレス性疾患と言われる数値化出来ない不定愁訴はまさに「想念」が作り出した痛み・症状なのです。

橋本先生も著書で何度となく取り上げていらっしゃるのが、東洋医学の古典の中から、精神が身体に及ぼす影響として「怒りは肝を傷(やぶ)り、悲しみは肺を傷り、憂いは脾胃(ひい)を傷り、喜びは心(しん)を傷り、驚きは腎を傷る」の例えを出され、”五情と五臓の関連”を説いた言葉を引用されています。

⑤『環(かん)』とは

『環』というテーマはある意味一番解釈が難しいものかもしれません。
単純に今居る私たちの環境のことだけを説いているものであれば、理解はしやすいのですが、それだけでは無い部分が有ります。

操体で説くところの『環』とは我々人間がコントロール可能な物事だけを説いているのでは無く、コントロール不可能な自然現象であったり事象に対しての私たち一人一人の心構えをも説いています。

先程の想念にも通ずるところがあり、コロナ然り、強者生存が正義のように思われがちな現代ですが、私たち人類の歴史は強者が生き残った結果では無く、弱者のみが生き残れた結果なのです。

多様な環境変化に柔軟に対応し、自分自身を変えることの出来たものだけが生き残る『適者生存』こそが大いなるヒントではないかと思います。